主治医意見書の書き方【2026年4月改定対応】
様式の構成と記入のポイント
最終更新: 2026年6月12日 | 監修: 在宅医療に従事する医師
主治医意見書は、介護保険の要介護認定に欠かせない書類です。市町村から依頼を受けた主治医が、申請者の疾病・心身の状態・生活機能・必要な医学的管理について記載し、介護認定審査会の二次判定で認定調査票とともに審査資料になります。
このページでは、2026年4月改定の現行様式に沿って、各項目の記入のポイントを実務目線でまとめます。
主治医意見書の基礎知識
| 誰が書く | 申請者の主治医(かかりつけ医)。市町村から作成依頼が届く |
| 提出先 | 市町村(介護保険担当課)。2026年4月から介護情報基盤経由の電子提出が順次可能に |
| 作成料 | 市町村負担(本人負担なし)。新規・継続で点数が異なる |
| 使われ方 | 介護認定審査会の二次判定資料。改定により介護サービス計画(ケアプラン)作成等への活用も明確化 |
| 様式 | 全国共通の標準様式(表面・裏面の2ページ) |
2026年4月改定のポイント: 介護情報基盤の運用開始に伴い「記入の手引き」が改正され、意見書の活用範囲が明確化されました。電子送信した場合は紙媒体の提出が不要であることも国の事務連絡(介護保険最新情報Vol.1441)で示されています。
様式の構成と記入のポイント
0. 基本情報・最終診察日・意見書作成回数
申請者の氏名・生年月日・住所に加えて、最終診察日と作成回数(初回/2回目以降)、他科受診の有無を記載します。最終診察日が古すぎると差し戻されることがあるため、依頼が届いたら早めに診察の機会を設けるのが実務上のコツです。
1. 傷病に関する意見
- 診断名(3つまで)と発症年月日 — 生活機能低下に最も影響している疾患から順に書きます。要介護状態の原因が伝わる並び順が重要です。
- 症状としての安定性 — 「不安定」を選んだ場合は具体的な状況(心不全の増悪を繰り返す、など)を記載します。
- 経過・治療内容 — 投薬内容を含む治療内容を簡潔に。処方の写しを貼る運用は不可のため、要点をまとめます。
2. 特別な医療
過去14日以内に受けた処置(点滴・透析・ストーマ・酸素療法・レスピレーター・経管栄養・褥瘡処置・カテーテルなど)にチェックします。一次判定の樹形図に直接影響する項目なので、実施しているものの漏れがないか必ず確認します。
3. 心身の状態に関する意見
- 日常生活の自立度 — 障害高齢者(寝たきり度: J1〜C2)と認知症高齢者(Ⅰ〜M)の2軸。認定調査員の評価と大きく食い違うと審査会で確認が入るため、日頃の生活像で判断します。
- 認知症の中核症状・周辺症状(BPSD) — 短期記憶、意思決定能力、伝達能力と、幻視幻聴・妄想・昼夜逆転・暴言暴行・徘徊などの有無。介護の手間に直結する情報なので、家族から聴取したエピソードがあれば具体的に。
- 身体の状態 — 利き腕・身長体重、四肢欠損・麻痺・筋力低下・関節拘縮・関節痛・褥瘡などを部位と程度(軽・中・重)で記載します。
4. 生活機能とサービスに関する意見
- 移動・栄養・食生活 — 屋外歩行、車椅子・歩行補助具の使用、食事行為、現在の栄養状態。
- 現在あるか今後発生の可能性の高い状態 — 尿失禁、転倒・骨折、移動能力の低下、褥瘡、閉じこもり、意欲低下、徘徊、低栄養、嚥下機能低下など。「今後の見通し」を書ける医師ならではの欄で、二次判定の重要材料です。対処方針もセットで記載します。
- サービス利用による生活機能の維持・改善の見通しと医学的観点から必要性が高いサービス(訪問診療・訪問看護・訪問リハ・通所リハ・訪問薬剤管理指導など)。ここにチェックしたサービスはケアプランに反映されやすくなります。
- サービス提供時の医学的観点からの留意事項 — 血圧・摂食・嚥下・移動・運動などについて具体的な指示(「収縮期180mmHg以上なら入浴中止」など)を書くと現場で活きます。
5. 特記すべき事項・ACP
介護の手間に関わる情報で他欄に書ききれないもの、主治医として伝えたい療養方針を自由記載します。改定様式では人生の最終段階における医療・ケア(ACP)の話し合いの実施状況と内容を記載する欄があります。日頃の外来・訪問診療での会話が、ここで活きてきます。
審査で差がつく書き方のコツ
- 「介護の手間」が見える文章にする — 認定は「医学的重症度」ではなく「介護の手間」で判定されます。「高血圧症、内服中」より「服薬管理ができず家族が毎回手渡している」が伝わる書き方です。
- 認定調査票との整合性 — 自立度評価が調査員と大きくずれると審査会で時間がかかります。迷ったら低め(重め)の生活像ではなく、実際の頻度・様子を具体的に。
- 前回意見書を引用して時短 — 継続申請では前回からの変化点だけ書き換えるのが効率的です。前回の記載内容を呼び出せる仕組みがあると、作成時間は大幅に短縮できます。
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よくある質問
主治医意見書は誰が書きますか?
要介護認定を申請した本人の主治医(かかりつけ医)が記載します。市町村から医師あてに作成依頼が届き、診察の所見に基づいて記入します。
作成料は誰が支払いますか?
市町村が負担します。申請者本人の自己負担はありません。
2026年4月の改定で何が変わりましたか?
介護情報基盤の運用開始に合わせて記入の手引きが改正され、意見書の活用範囲(ケアプラン作成等への利用)が明確化されました。また市町村への電子提出が制度化され、電子送信した場合は紙の提出が不要になりました。
電子で提出できますか?
2026年4月から介護情報基盤を通じた電子送信が順次始まっています。対応時期は市町村のシステム移行状況により、2028年4月までに全市町村で利用開始予定です。
※ 本ページは公的な標準様式・記入の手引きに基づく一般的な解説です。実際の記載にあたっては、提出先市町村の案内と最新の「主治医意見書記入の手引き」をご確認ください。
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